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インセンティブ

先日書店で『インセンティブ』 / タイラー・コーエンをパラパラとめくったら面白そうで買って読み中。で、どうやらこれは『人間とは何か』 / マーク トウェインと同じことが書かれているらしい。人間の行動原理を、前者は楽観的に、後者は悲観的に述べている。

マーク トウェインの人間機械論は簡単に説明するとこうだ。電車に乗って座席に座ってる男が、目の前に立った老人に席を譲るか否か。男に自由意志はなく、あるのは天秤のみ。譲る・譲らないの両側に様々な要素が乗せられていく。世間体、自身の疲労度、下車駅までの時間、その時の気分、老人の荷物の量、蓄積された価値観等、様々なものが天秤に乗せられ、傾いた方の結果にしか人は動かないというものだ。その天秤の結果に逆らえない、ただの機械にすぎないという還元論。

『インセンティブ』も「自己愛(ミーファクター)」という言葉で人間の行動原理を説明しようとする。人はカネだけで動くんではなくて、いろんな要素が複雑にからまって動くよと。では何が違うか。先にも書いたように楽天的なのだ。そうした行動原理で自身を分析して、よりよく立ち回れるように役立ててみようよと。還元論に陥って悲観的になるんではなくて、その考え自体の使い道を提案している。

経済学者の間ではこの手のが流行らしい。偶然にもamazonでオススメされた『人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く』 / ティム ハーフォードも同じような内容の匂いがしてきて読まずとも内容が分かる気がする。経済学者にとっては新しいフロンティアかもしらんけど、既に先住民たちの手垢でいっぱいですよ。

読んでみたい気がしたら。強い薬(=毒)がいいならマーク トウェインを、ちょっとした栄養ドリンク程度でよければタイラー・コーエンを。

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